クライアント対応の苦労あるある~許認可の資料収集・証明書類編~
こんにちは。八王子市の伊橋行政書士法務事務所です。
今回は、行政書士の仕事をしていると必ず直面する「クライアント対応の苦労」、その中でも特に許認可申請における資料収集・証明書類の準備について、あるあるエピソードをご紹介したいと思います。
「全部そちらでやってもらえると思ってました…」
これは本当によくあるセリフです。たとえば、飲食店営業許可の申請を代行する場合、保健所に提出するために建物の図面や使用許可証明書、従業員の検便結果など、様々な資料が必要です。
しかし、クライアントの中には「行政書士に依頼したんだから、全部そっちで取ってくれるもの」と思い込んでいる方も少なくありません。
特に会社や事業主が初めて許認可を取得する場合には、制度自体の理解が浅いため、「必要書類がこんなに多いなんて知らなかった!」と驚かれることもしばしば。
書類の取得先が役所だったり、取引先だったりすることを説明すると、「えっ、自分でやるの?」という反応が返ってくることもあります。
資料が集まらず、申請期限がギリギリに…
書類集めの重要性をどれだけ丁寧に説明しても、実際に動いてくれないクライアントも一定数います。
「来週中には送ります」と言われてから一週間経っても音沙汰なし、こちらから連絡してようやく一部の資料が届く…というケースも。
その結果、提出期限が迫り、事務所側が時間外に残業して書類作成を進める羽目になったこともあります。
本来であれば、スケジュール通りに進めることで無理なく申請できるはずなのに、なぜか毎回ギリギリになる…。
これも行政書士あるあるですね。
【事例】飲食店営業許可(八王子市)での一幕
実際に八王子市内で対応した飲食店営業許可の案件では、店舗オーナー様がリフォーム中で忙しく、「図面や厨房の配置図は、施工会社に聞いてください」と言われました。
施工会社にも連絡したところ、「図面の修正は完了後になります」との返答…。
結局、許可申請が遅れ、開店日をずらす判断を余儀なくされました。
このように、関係者が複数にまたがる場合、調整や確認に思った以上の時間がかかることが多々あります。
調整力も行政書士に求められるスキルのひとつなのだと実感しました。
【事例】建設業許可での会社謄本の準備
別の事例では、建設業許可申請のために商業登記簿謄本が必要でしたが、クライアントが「法務局の行き方が分からない」と尻込み。
こちらでオンライン請求をご案内し、やっと取得してもらったのですが、今度は「届くのに時間がかかるから間に合わないかも」と…。
結果的に、謄本が届くまで待機し、急ぎで他の書類を用意するという対応に追われました。
「たったこれだけの申請なのに?」という誤解
よく聞くのが「紙一枚出すだけでしょ?なんでそんなに大変なの?」という言葉。
ですが、その「紙一枚」の裏には、調査・相談・資料収集・確認・作成・修正・提出・フォローアップという多くの工程があります。
行政手続きには厳密な様式や添付資料のルールがあり、少しでも不備があれば差し戻されることもあります。
特に八王子市のような中核市では、申請先によってローカルルールがある場合もあり、書類を作るだけではなく、そのルールを把握しておくことが不可欠です。
事前説明の大切さと、クライアントとの信頼関係
私たち行政書士にとって、「申請が通る」ことがゴールですが、クライアントにとっては「なるべく楽に終わらせたい」というのが本音です。
そのギャップを埋めるためには、事前の説明を丁寧に行い、スケジュール感や役割分担を明確にしておくことが非常に大切です。
実際、初回の打ち合わせで「これとこれはこちらで用意しますが、残りはこちらでお願いできますか?」と紙にまとめて渡したところ、後のやりとりがスムーズになった経験もあります。
やはり信頼関係は細かい配慮の積み重ねなのだと、日々実感しています。
まとめ:対応の難しさも、行政書士の醍醐味
クライアントとのやりとりに悩まされることも多いですが、それを乗り越えて「ありがとう、助かりました」と言っていただけた時の喜びは、何ものにも代えがたいものです。
苦労も含めて、これが行政書士という仕事のやりがいの一つだと感じています。